神石牛プロジェクト

「神石牛」とはどんな肉?

そもそも「神石牛には、どんな特徴があるの?」「ほかのブランド牛との違いは?」など、気になること多いかと思います。
そこで神石牛の特徴について、紹介します。

神石牛とは、神石高原町で飼育されている黒毛和牛種、またはその精肉のこと。
2022年にジョー・バイデン米国大統領が訪日したとき、岸田文雄総理大臣が「神石牛フィレ肉のグリル」をふるまったことで話題になりました。

神石牛は年間に約400頭しか出荷されていないため、「幻の和牛」とも呼ばれています。

定義

神石牛には以下の3つの定義があり、すべてクリアする牛のみが「神石牛」と呼ばれています。

神石牛

神石牛の定義

  1. 黒毛和牛種の去勢牛、または未経産雌牛
  2. 神石高原町で最長期間飼育されている。
    「神石血統」を有する場合は、神石高原町で産まれ、広島県内で最長期間飼育されている。
  3. (社)日本食肉格付協会の定める牛枝肉取引規格の肉質等級が3以上、歩留(ぶどまり)等級がB以上

また神石血統とは、以下のものを指します。

神石血統

(公社)全国和牛登録協会が発行する子牛登記証明書を有し、記載されている三代祖(父牛、母の父牛、母の母の父牛)の
いずれかが神石血統牛である「第2横利」の血を継いだ広島県有種雄牛であるもの

第2横利は、1954年(昭和29年)4月に神石郡新坂村で誕生した牛です。
「性質温順、強力持久、外観の美」を兼ね備えた伝説的な牛「豊萬号」の、6代の孫にあたります。
第2横利は、広島県畜産共進会で1等賞に入賞。その後、油木種畜場で15年にわたり種雄牛として供用されました。
肉質等級が3以上・歩留(ぶどまり)等級がB以上については、以下の表を参考にしてください。

神石牛の歩留等級・肉質等級

特徴

神石牛は「和牛のなかでも最高峰」といわれ高く評価されており、肉質がとてもよいのが特徴です。

神石牛・肉質

神石牛の特徴

  • 筋繊維が細く、余分な脂肪が少なめ
  • 赤身がきめ細かく、 脂が赤身のあいだに緻密に入り込んでいるため、うまみが濃く、食感がなめらか
  • 脂肪はミルクのようにまろやかな甘味がある
  • 脂肪の融点が低いため、やわらかで舌の上でとろけるような舌触り

歴史

神石牛・牧場

もともと日本では、多くの牛は農耕用に飼育されていました。そして江戸時代になると、食肉用として品種改良が行われるように。
現在の広島県は、食用の品種改良のさきがけともいわれています。

神石郡では、1916年(大正5年)4月に広島県種畜場が設立されました。そして種雄牛(繁殖に用いられるオスの牛)が育成され、広島県内の各地に提供するようになります。
やがて種雄牛は県内だけでなく、県外にも多く購買されるようになりました。

1926年(大正15年)5月、皇太子(のちの昭和天皇)殿下が広島県を行啓。このとき神石郡で飼育されている牛「豊神」「豊実」号が、福山城において皇太子殿下にお披露目されました。

これがきっかけとなり、1927年(昭和2年)2月7日の大正天皇の御大葬の儀において、広島牛4頭が御轜車(棺を乗せる車)の奉引牛になります。
もともと奉引牛は京都府丹波牛でしたので、丹波牛以外が奉引牛になったのは初めてのこと。なお広島牛4頭のうち、2頭が神石牛でした。
御轜車奉引を勤めた4頭のうち、神石牛「豊萬」号と比婆牛「八幡」号は、広島県の願いにより、無償で宮内省から広島県へと譲り受けられました。
豊萬号は子孫に多数の種雄牛を輩出。現在まで、神石牛の血統が脈々と受け継がれています。
やがて「神石牛」の名は広く県内外に広く知られるようになり、広島県産の牛といえば神石牛といわれるまでになったのです。